2.2 初めてのウォータージャンプ ③

「あっ、ボク、左の耳が聞こえないから」

 ヘルメットを脱ぎながらヒマリが続けて言った。

 

「ごめんなさい。・・・とてもキレイなジャンプだなぁと思って」

 少女はヒマリに謝った。

 

「ありがとう。でも気にしてないよ。今日は初めてスキーをしたんだ」

 

「私はツキハ。初めてのスキー?キミ、センスいいよ」

 

「ボクはヒマリ。スキーもジャンプも好きだけど、泳ぐのは苦手だな」

 ヒマリが笑顔で応えた。

 

「そうだな。ヒマリは運動の中で、唯一水泳だけはダメだからな」

 ユウヤは大急ぎでプールを泳ぎ切り、上りながら話した。

 

「でも、ジャンプはスゴク良かった。思わず、声を掛けちゃった」

 その声にツキハが返した。

 

「ヒマリの運動神経はメチャクチャなんだ。オレ、ユウヤ、よろしく!」

 プールから上がったユウヤは笑顔で挨拶した。

 

「私はツキハ。よろしく。ここにはよく練習に来るけど、二人とも初めてだよね」

 

「ああ、初めて。でも、オレはヒマリと違ってスキーが結構できるし、スキー場でも小キッカーならよく飛んでいる」

 ユウヤは得意気に答えた。

 

「へぇー、そうなんだ」と言ってツキハはニヤリとし、

「ねぇ、二人ともそれだけ飛べるなら、もっと大きいのを飛ぼうよ!」

 と続けた。

 

 ツキハは施設の反対側にある大きなジャンプ台の方を指さした。

 

 

  つづく

 

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