4.1 あの子に話したあの頃の幼馴染 ⑤

 ユウヤは両親と姉二人の5人家族、ヒマリは祖父母と両親と妹の6人家族に加えて犬と猫がいた。

 ヒマリの家は祖父母が住んでいた家を建て直した大きな家で、祖母が相当の動物好きだった。以前はウサギ小屋や鳥小屋があり、猫を3匹も飼っている時期もあったようだ。でも今は、犬が1匹と猫が2匹で、祖父は元気がなくなって施設に入っているとユウヤは話した。

 

「ユウヤ、ありがとう。私のおじいちゃんとおばあちゃんの家にも猫が二匹いるんだ。私は猫派かな」

 ツキハが笑顔で応えた。

 

 話の区切りがついた所で、ツキハは本館の部屋、ユウヤは別館の部屋にそれぞれ戻って行った。

 

 

 ユウヤはホテルの別館の階段を上ると、通路にある窓から外を眺めた。外は闇だったがゲレンデの雪が僅かな月明りに照らされてうっすら浮かんで見える。

 ユウヤはそんな儚げな景色を見ながら、ツキハがソファーに座ってぼんやり外を眺めていた様子を、心に刻み付けるように思い返した。ユウヤは直感的に、ツキハが父親からヒマリの事故のことを聞かされたのではないかと思った。

 

 ヒマリが事故に遭った時、ユウヤもその現場に居た。ユウヤは、そのことをツキハが知らないと考えていた。

 

 

  つづく

 

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