4.2 あの時の知られたくなかったこと ⑥

「ふざけるな!お前!」

 ユウヤはハルトの胸ぐらを掴んで怒鳴った。

 

 そこにミコトが慌てて駆け付けた。

 

「止めなよ!どうしたの?」

 長身で身体が大きいミコトがハルトとユウヤの間に割って入った。

 

「俺は何も悪くない。加害者の娘と被害者なのに仲がいいなと言っただけだ」

 ハルトは何が悪いのか理解していなかった。   

 

「えっ!!コーチがさっき言ってたこと話しちゃったの?コーチだってペラペラ話すなって言ってたじゃない。それがダメなんだよ!」

 ミコトがハルトを窘めた。

 

「内緒のことだったのか?」

 ハルトが首を傾げた。

 

「この様子だと知らないことだったんだよ。知らない方がいいこともあるんだよ」

 ミコトがハルトを諭した。

 

「そうか。それは悪かったな。ごめん」

 ハルトが向き直って頭を下げた。

 

「本当にごめん。ハルってこういう性格で」

 ミコトも頭を下げた。

 

 

 ユウヤが振り上げた拳を下して震えている。ヒマリは固まったまま立ち尽くしていた。そしてツキハはその場に泣き崩れていた。

 

 

  つづく

 

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