6.2 山の動物たちの反乱計画 ①

 ヒマリの全身を淡い光が包み、フッとそれが消えた途端、パサッと音がしてヒマリが着ていた筈のジャージが通路の床に落ちた。

 もう人間のヒマリの姿はなく、ジャージの中から白い子猫が現れた。

 

 子猫となったヒマリは胸騒ぎがして通路を走ってホテルの入口に行き、ドアを押し開けて外に出た。そしてスキー場の奥にある森の方に向かって行った。

 

 森の奥では、大木の前で動物たちの集会が開かれていた。その中心にはペラペラと話す猿が居て、その横に大きなツキノワグマが座っている。猿は大げさな身振り手振りで演説し、周囲にはウサギや鹿、猿にリス、イノシシにオコジョと山に棲む様々な動物がいて相槌を打っていた。

 

『いいかい、みんな、この森を無くそうなんて、許しちゃいけないよ。人間たちはこのご神木をなんだと思っているんだ。ただの大木じゃないんだ。昔からこの山を守っている山の神様の木なんだ。人間は山の神様なんて信じずに、森も山も自分が支配しているつもりなのかも知れない』

 

 

  つづく

 

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