6.3 オコジョの森を賭けた子猫の誓い ①

 ヒマリは、大会で使うキッカーの方に向かって行く動物たちを止めたかった。ツキノワグマやイノシシが暴れたら、ジャンプなどできる状態ではなくなってしまう。それに人間と山の動物たちが対立するようなことを、ヒマリはさせたくなかった。

 

 ヒマリはツキノワグマが歩く先に回り込み、聳えるような相手の前に立ち塞がった。子猫のヒマリは勇敢だった。

 

『止めて!』

 ヒマリが叫んだ。

 

『なんだい?んっ、子猫じゃないか』

 ツキノワグマの肩に乗った長老猿が見下ろしながら言った。

 

『今は猫の姿だけど、本当は人間です。でも、敵ではないです。お願いですから、人間を困らせるようなことはしないでください』

 

『猫に化けた人間?猫憑きか?しかし、よそ者が何を言っているんだ?』

 

『人間が困るようなことをしたら、どんどん人間に嫌われてしまう!』

 

『嫌われたって構うことはない。人間を追い出すのが目的だからな!』

 

『そうだ、そうだ!』

 後ろに続く動物たちも長老猿に同意だった。

 

 

  つづく

 

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