6.3 オコジョの森を賭けた子猫の誓い ③

『黙って見ていれば、わたしの血を引く子に何をするんだい?これ以上はクマだろうとわたしが許さないよ!』

 三毛猫の霊はみるみる大きくなり、ツキノワグマと同じぐらい大きな化け猫となった。

 

『どこの化け猫か知らんが、この土地で好き勝手できると思うなよ。こちらには山の神様が付いておるのじゃ!』

 長老猿は化け猫を見ても全く怯まなかった。

 

 ツキノワグマも全く退かず、化け猫と激しく睨み合った。

 

『おやめなさい!』

 静かに鋭く響く声が森の方から聞こえて来た。

 

『これは山の神様』

 長老猿が振り返り、森の方を見た。

 

 森の中で一際大きな大木が薄っすらと光っているようだった。

 

『この山で生を受けた子たちよ、あなた方の気持ちはとても嬉しい。それに森を守りたいという行動は誇らしい。感謝しています』

 

 動物たちはみんな森の大木の方を見た。

 

『勿体ないお言葉です』

 長老猿はそう応えた。

 

 

  つづく

 

【目次】【前話】【次話】