6.3 オコジョの森を賭けた子猫の誓い ⑤

 

『なあ、お前、大丈夫なのか?勝てるのか?』

 オコジョの子が心配そうに話して来た。

 

『勢いで言ってしまったけど、分からない。この姿の時って調子に乗っちゃうんだ。どうしよう?』

 ヒマリは不安そうに答えた。

 

『おいおい。今頃になって勘弁してくれよ。さっきまで長老やクマさんと渡り合っていたじゃないか。お前だけが頼りなんだ』

 

『今頃になって怖くなって来た。踏み潰されるかと思った』

 

『変なヤツだな。でも、お前って、人間の時はオスだったけど、猫になるとメスなんだな?』

 

『えっ?これは・・・嫌だな。もう・・・』

 

『ちょっと可愛いなって思っただけだよ。じゃあ、頼んだぞ!』

 

『うん。分かった』

 

 オコジョの子が森に引き上げ、ヒマリもホテルの方に戻って行った。

 

 ヒマリはホテルの入口のドアに身体を押し付け、少しだけ隙間を開けてホテルの中に入った。それから自分の部屋の前まで来たが、ヒマリはドアを開けられず、床に落ちているジャージの中に潜った。

 

 

  つづく

 

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