7.2 失速のカービング! ⑦

「ユウヤ選手の得点は50点です。2本目に期待しましょう」

 

 ユウヤは着地後にストックを雪面に叩きつけて悔しがった。体操教室の女の子たちからは励ましの声が掛けられたが、ユウヤは応えることなく引き上げて行った。

 

 ユウヤがリフト乗り場に向かう途中でゲレンデの上を見ると、ハルトがミドルキッカーのスタート位置に立っていた。選手紹介が始まった。

 

「ハルト選手の好きな食べ物はサバ、好きなものは自由ですか。さて、スタートしました。緩やかなカービングからの~コーク9、決めたー!!いやー流れが美しい」

 

 ユウヤは立ち止まってハルトのジャンプを見ていた。

 

「ヒマリに負けず、あいつもスゲーな。いきなり2回半まで回して来た」

 ユウヤはハルトのジャンプに感心した。

 

 後ろ向きで着地をしたハルトは採点も待たず、スッと向きを変え、まるで公式練習の続きのようにそのままリフト乗り場に向かった。

 

「ハルト選手の得点はー、・・・87点、ヒマリ選手を追っています。2本目が楽しみですね」

 

 ハルトの得点がアナウンスされて会場が沸く中、ユウヤとハルトはリフト乗り場で一緒になった。二人は気まずい感じで顔を見合った。

 

 

  つづく

 

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