7.3 約束のエアターン! ②

「だったら無理に踏み切らず、自然に抜けてエアターンをすればいい」

 ハルトはユウヤの方を向いて静かにアドバイスした。

 

「エアターン??」

 意味が分からないユウヤはハルトの顔をしっかりと見た。

 

「お前はハーフパイプをしたことがないのか?」

 

「ない」

 

「そうか。まあキッカーでハーフパイプのようにエアターンはできない。ハーフパイプのエアターンの要領という意味だったんだが、大事なのは視線、ライン取り、そして姿勢だ」

 ハルトがそう話した時にはリフト降り場に着いていた。

 

 

 リフトを降りたユウヤは、ハルトにキッカーでカービングをして踏み切る方法を教えて貰うことになった。スタートエリアに向かう途中で二人はスキーを外して斜面に立ち、その場で踏み切るポーズを何度も何度も取っていた。

 

「こうか?」

 

「違う。こうだ」

 

「そうか。こうか?」

 

「もうちょっと。こうだ」

 

「こう?」

 

「そうだ」

 

 ハルトは大会の最中ということを忘れているかのように、ユウヤに熱心に身振り手振りで指導をしている。そこにミコトが近づいて来た。

 

「二人とも、そろそろ並ばないと、2本目の順番が来るよー」

 ミコトが近付きながら呆れたように声を掛けた。

 

 

  つづく

 

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