7.3 約束のエアターン! ③

「教えられることはこれで全てだ。後はお前次第。自分を信じてやってみろ」

 ハルトが満足気に言った。

 

「サンキュー!やってみる」

 ユウヤも満足した顔だった。

 

「約束だ。俺たち揃って決勝に行くぞ!」

 

「ああ、行ってやる!」

 ユウヤが力強く応えた。

 

 ハルトとユウヤはスキーグローブ越しに固く握手した。それをミコトは溜め息を吐きながら温かく見ていた。

 

 ジュニア男子の1本目が終わった時点でヒマリが1位、ハルトが2位、ミコトが3位、ユウヤは10人中6位だった。ユウヤが決勝に進出するには、他の選手の2本目の得点が同じであったとしても62点以上取らないと届かない。難易度的に得点が高くなる回転技をしないユウヤには、今の連続技を完璧に決める必要があった。

 

 2本目が始まった。

 

 ツキハは1本目と同じ技を決めてジュニア女子の1位となり、ヒマリは1本目で温存した両手でスキーを手で掴みながら宙返りするダブルバックフリップジャパングラブを成功させて得点を91点まで伸ばし同じ技だったハルトを引き離した。

 会場は大歓声に包まれ、異様な雰囲気の中、次はユウヤの番だった。

 

 

  つづく

 

【目次】【前話】【次話】