7.4 昼凪のインターバル! ⑤

 彼はレジャー施設を建設する計画が発表された時に反対した。彼はスキー場の社長や幹部に、観光と自然保護を両立している海外などでの成功事例を幾つも提案した。が、既に森には保護をするべき動物がいないと言われ、彼は写真家と一緒に森に泊まり込んだ。

 が、全く動物の姿を撮影することも目撃することもできなかった。このため、レジャー施設建設の反対運動も盛り上がらず、今に至っているという。

 

 もし本当に今でも森にオコジョが生き残っているのであれば、臆病なオコジョを刺激しないように森に入場制限をしたり、エサ遣りやゴミ捨てなどの規制を厳しくしたりして、自然と触れ合える高級リゾート地として再生できる可能性が残っているかも知れないと、彼は語った。

 

「そう言えば、今朝のゲレンデ整備の前に、クマやイノシシなどの足跡がゲレンデに沢山残っていたと聞いたよ。もしかしたら、ヒマリ君が言った山の動物が怒っているってことと関係があるかもね」

 

「関係あります。だからボクは今日の大会で優勝して、山の動物たちの願いをみんなに聞いて貰うんです。そうしないと動物たちが暴れ出してしまいます。信じて貰えないと思いますが」

 

 

  つづく

 

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