7.5 心のメタモルフォーゼ! ⑧

「お前さぁ、もう少しツキハのことを考えろよ。優しくしてやればいいのに」

 ユウヤは呆れたように言った。

 

「えっ?」

 ヒマリには意味が分からない。

 

「お前とツキハ、お似合いだよ!ツキハってよく気が利くし」

 

「お似合いなんて、そんなことないよ」

 

「ツキハのこと、一昨日の夜は好きとか言ったけど、お節介でやっぱりダメだわ。オレには合わない」

 ユウヤは大袈裟に身振り手振りでダメを表現していた。

 

「それ、ウソでしょ」

 ヒマリは強く言った。

 

 フザケ半分だったユウヤの表情が硬くなった。

 

「ツキハが好きなのはお前なんだ。だから、オレのことは気にするな!」

 ユウヤは厳しい口調に変わっていた。

 

「やだよ」

 ヒマリは縋るような声だった。

 

「前にも人のことばっか気にしてねぇで、自分のことをもっと考えろって言ったろ!オレはオレ、お前はお前だ」

 ユウヤはヒマリにそう言い放った。

 

 その直後、ユウヤは係員に呼ばれ、ミドルキッカーのスタート位置に向かった。

 

 ヒマリはその場で固まったままだった。ヒマリは突き放され、ユウヤが遠くに行ってしまうと感じた。

 

 

  つづく

 

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