7.6 涙のハートビート! ②

 大雪の日、マリはヒマリの家でユウヤに抱かれて気持ち良さそうにしていた。

 

「マリって本当に可愛いよなー。ウチに連れて帰りたいぐらいだ」

 マリを抱いたままユウヤがヒマリに言った。

 

「えー、ユウヤの家だって猫がいるじゃない」

 ヒマリはにこにこしながら応えた。

  

「ああ、クロベエか。あいつはふてぶてしくて可愛くないんだよ。マリ、ウチに来るか?」

 ユウヤの問いにマリは鳴いて応えた。

 

「そうか、そうか。ウチに来たいか」

 ユウヤは嬉しそうにマリを見て、そんなユウヤをマリも見ていた。

 

「そんなことないよ。マリ、こっちにおいで。ウチの方がいいよね」

 ヒマリがそう言うとマリはぷいっと横を向いた。

 

「ほら見ろ」

 ユウヤは得意気だった。

 

「悔し~いぃ!」

 ヒマリはそう言いながら笑っていた。

 

「マリは人を見る目があるんだ。な!」

 ユウヤがそう言うとマリはすました顔をした。

 

「じゃあ、雪が止みそうもないし、そろそろ帰るかな。またなマリ」

 ユウヤはそう言ってマリをヒマリに渡そうとした。

 

 マリはユウヤから離れるのを嫌がってユウヤにしがみついた。

 

 

  つづく

 

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