7.6 涙のハートビート! ⑦

 ヒマリのジャンプはスロープ部分を完全に超え、平らな部分まで届いてしまっていた。水の張ってあるプールへの高飛び込みが、地面への飛び降りに変わってしまうようなものだった。

  

 ヒマリは平らな雪面に着地し、衝撃で一気に跳ねるようにスキーが外れた。そしてヒマリの身体がゴロゴロと転がった。目の前で倒れたヒマリを見て、応援していた体操教室の女子が悲鳴を上げた。

 

 森では長老猿とオコジョの子が見ていた。

 

『長老、ヒマリが、ヒマリが・・・』

 オコジョの子はとても心配そうだった。

 

『落ちてしまったな。可哀そうに、頑張っていたが、もう無理じゃろう』

 長老猿は静かに呟いた。

 

 いつものヒマリであれば、失敗しても直ぐ立ち上がり、笑って大丈夫だと周りを安心させる。一昨日のヒマリもそうだった。しかし、今回のヒマリは立ち上がらなかった。激しく転倒し、そのまま倒れていた。

 

 

  つづく

  

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