7.7 遥かなるビックエア! ④

「冗談ばっかりでもないよ。ハートは2個分だし」

 ヒマリはすました顔をした。

 

「確かにな」

 ユウヤが応えた。

 

「なあ、ビンディングの解放値、あの飛び方にしては緩くないか?」

 ハルトがスキーを見ながら二人に言った。

 

「すまない。解放値の調整まで頭が回っていなかった。ヒマリのスキーは全部借り物なんだ。ヒマリ、今回が初めてのスキーで」

 ユウヤがハルトに答えた。

 

「誰がそんなこと信じるか。しかし調整なら俺がしてやる。コイツのジャンプ、もっと見たいしな」

 

「サンキュー。頼むよ」

 ユウヤがハルトに応えた。

 

「ヒマリ、予選の時の景色、もう一度見せてくれ!何が見えたか忘れちまったから」

 ハルトはヒマリをしっかりと見た。

 

「そうだな。ヒマリ、みんなに見たことのない景色、見せてやれ!」

 ユウヤもヒマリに強く言った。

 

 

 会場にアナウンスが流れる。

 

「ジュニア男子の最後はヒマリ選手、1本目は激しい転倒でハラハラでした。2本目は気持ちを切り替えられるか。・・・えっ、ビックですか?なんと2本目はミドルキッカーからビックキッカーに変更して飛ぶようです。大丈夫でしょうか?」

 

 

  つづく

 

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