7.7 遥かなるビックエア! ⑦

「二人とも優勝おめでとう!特にヒマリ君、まさかのトリプルコーク、ビックリだったよ。あれは間違いなく公式戦を含めて大会一番のジャンプだった」

 MCのケータさんがヒマリにそう話し掛け、多くの拍手と同意の声が寄せられた。

 

「えっ、あの、ありがとうございます。どうしても優勝したかったんです」

 マイクを向けられたヒマリが応えた。 

 

「それはどうして?」

 

「まだ、この森にはオコジョの家族が棲んでいます。人間に見つからないように隠れて暮らしているだけです。どうか、彼らの棲み処を無くさないでください。それに山を守っている神様の木を切らないでください」

 ヒマリはそう話した。

 

「えっ、もうオコジョなんていないでしょ。ケータさんだって調査して言ってたじゃん」

 どこからか声が飛んで来た。

 

「ぼくが調査した時には確かに見つからなかった。でも、別の場所から最近になって戻って来たのかも知れないね」

 ケータさんが応えた。

 

「私も、今日のお昼休みにオコジョを見ました。人間に見えないだけでしっかり暮らしているんです。信じて下さい!」

 ツキハが被せるようにマイクに向かって言った。

 

 

  つづく

 

【目次】【前話】【次話】