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動画をUPしました。3.6 八王子から伊香保の道のり④

「そうです。諏訪大社が祭神以外に祀っている古来のそそう神が蛇神の正体だと考えていますが、あなたに憑りついていた際に自分の世界に帰ると言っていました。だから祀られている諏訪大社ではなく、自分の世界とは龍脈が通っている地の底だと思っています」

 

「諏訪縁起の維縵国ですね」

 千代女は私にそう返しました。

 

「そうです。諏訪縁起に出て来る地底の維縵国が龍蛇の住処で、その入り口が浅間山だと思います。浅間山の周辺で龍穴と思える洞窟までの道案内をして頂けるのなら、この申し出を受けましょう」

 私がそう応えると心配そうにコノハさんが近寄って来ました。

 

「道澄さん。簡単に信用して手を組んでいいんですか?」

 コノハさんは私に耳打ちしました。

 

「うん。きっと大丈夫だよ。手が組めるのであれば損はないと思う」

 私は静かに返事をしました。

 

「信用してくれるんですね。いいですよ。道澄様たちを浅間山の洞窟までご案内しましょう」

 千代女は不敵な笑みを見せました。

 

 こうして話はまとまり、私は上杉輝虎宛の書状をしたため、唐沢玄蕃に渡して先に向かって貰いました。相模から上野の沼田までは約142km、歩き続けて30時間の距離があります。私たちは望月千代女を加えた四人で上杉輝虎が滞在していると思われる沼田城に向かって旅をすることになりました。



  つづく