第1章:ある夏の河口湖

1.5 目覚め後の天井山公園


 ロープウェイの駅を出ると天上山公園になっています。公園の中央にたぬき茶屋という売店があって、その周囲にカチカチ山の兎と狸をモデルにした像があり、徒歩で下山するハイキングコースの途中にはカチカチ山の話もある『御伽草子』を書いた太宰治の記念碑もあります。

 

 到着して私は、盃を的に投げる『かわらけ投げ』の場所を見学しました。それは夢でおじいさんが話した小御嶽神社と関係があり、祀られている親娘三神の内の姉妹二神である磐長姫命と木花開耶姫命に縁結びの願いを込めて盃を投げるというものでした。

 

 山頂にある小御嶽神社は、富士山に木を伐りに出掛けた家族の無病息災を祈るための祈願所として、937年に創建された富士山五合目にある小御嶽神社の里宮として1,668年にこの山に分祀されたものだそうです。

 

 私は、夢のおじいさんには、里宮が縁結びの場となったことが合わなかったのかも知れないと思いながら、公園の反対側にあるうさぎ神社に向かいました。

 

 すると、そこには夢で見た少女と後ろ姿がよく似た女性がいました。

 

「あの…」

 と思わず声を掛けそうになった所で、女性が振り返りました。

 

 確かに後ろ姿はよく似ていましたが、目付きや口元が異なり、全くの別人でした。

 

 私はうさぎ神社の参拝後、声を掛けなくて良かったと安堵しながら、そこから歩いて山頂に向かいました。

 

 

 ロープウェイの駅を出ると天上山公園になっています。公園の中央にたぬき茶屋という売店があって、その周囲にカチカチ山の兎と狸をモデルにした像があり、徒歩で下山するハイキングコースの途中にはカチカチ山の話もある『御伽草子』を書いた太宰治の記念碑もあります。

 

 到着して私は、盃を的に投げる『かわらけ投げ』の場所を見学しました。それは夢でおじいさんが話した小御嶽神社と関係があり、祀られている親娘三神の内の姉妹二神である磐長姫命と木花開耶姫命に縁結びの願いを込めて盃を投げるというものでした。

 

 山頂にある小御嶽神社は、富士山に木を伐りに出掛けた家族の無病息災を祈るための祈願所として、937年に創建された富士山五合目にある小御嶽神社の里宮として1,668年にこの山に分祀されたものだそうです。

 

 私は、夢のおじいさんには、里宮が縁結びの場となったことが合わなかったのかも知れないと思いながら、公園の反対側にあるうさぎ神社に向かいました。

 

 すると、そこには夢で見た少女と後ろ姿がよく似た女性がいました。

 

「あの…」

 と思わず声を掛けそうになった所で、女性が振り返りました。

 

 確かに後ろ姿はよく似ていましたが、目付きや口元が異なり、全くの別人でした。

 

 私はうさぎ神社の参拝後、声を掛けなくて良かったと安堵しながら、そこから歩いて山頂に向かいました。

 

 

 山頂に向かう途中には『武田信玄の戦国広場』と崖から迫り出した展望台がありましたが、高い所が苦手なので素通りです。そこから更に山を登って山頂に来ました。

 

 しかし、神社らしい建物がありません。

 

 小御嶽神社と記された石碑と神棚ぐらいの小さな社がありました。公園にあった『かわらけ投げ』や『うさぎ神社』の方が立派です。

 

 

 アルベルト・アインシュタインが「人間は脳の10%しか使っていない」と言った時代から解明が進み、脳の機能も明らかになって来ました。が、記憶や意識に関しては未だに謎が多いです。

 

 夢は、脳が記録を整理する過程で見るとも言われています。今回のスキー旅行前に調べた河口湖の情報が、昨夜の夢に繋がったのかも知れません。夢での祟りを通して、潜在意識が私をこの場所に導くようにプログラムしたのかも知れません。

 

 ただ、目覚める前に襲われたことが理解できません。

 

 私はモヤモヤしながら、石碑の泥をハンカチで拭い、お賽銭を入れました。そして、小さな社に向かって、夢でお世話になったおじいさんとおばあさんや少女が無事であり、少女の祟りが祓われることを願いました。

 

 それから私が山頂から降りて行こうとすると、先ほど声を掛けなかった女性と凛とした女性の二人がこちらに向かって来ました。

 

「殊勝な心掛けだな」

 凛とした女性がすれ違いざまに小さく言いました。

 

 私は特に気に留めず、今夜の宿泊先に向かうことにしました。

 

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