
私たちは鎌原村の宿で朝を迎えました。私は夕食場所とは違う部屋で休ませて貰い、輝虎様と千代女さんが酔い潰れているであろう部屋の様子を見に行きました。
部屋まで来ると戸が開いて道澄さんが出て来ました。
「おはようございます。昨晩は輝虎様と千代女さんに絡まれて大変でしたね」
私は道澄さんに挨拶をしました。
「コノハさん、おはようございます。かなりお酒を頂いてしまったようです。実は、そのためだと思いますが私の中にいた彼は元の世界に戻ったようです」
「えっ!そんな」
「でも安心してください。元々私と彼は目的が同じですから、彼がこの世界でしようとしていたことは私の記憶に残っています。それに、この村の未来のことも」
道澄さんは優しい顔でそう答えてくれました。
そう話していると輝虎様と千代女さんも起きて来ました。二人は昨晩のことを余り覚えていないようでした。昨晩は道澄さんを取り合っていがみ合っていたのに、二人はいつの間にか親しくなっていました。
「コノハ様、これから龍蛇退治だというのに、本当に大丈夫でしょうか?」
二郎さんが心配そうに言って来ました。
「うーん。きっと…」
私は上手く答えられませんでした。
つづく