武田氏による諏訪支配は40年程度で、信玄の跡を継いだ勝頼は織田の軍勢に破れて諏訪から撤退し、織田信忠が諏訪大社を焼き払いました。その織田の侵攻に合わせるかのように浅間山が噴火し、京都からも見えたと伝わっています。
浅間山は噴火を繰り返している火山ですが、この時の噴火のため、劣勢になった勝頼は浅間山の近くにある真田昌幸が守る難攻不落の岩櫃城での再起を諦めたと言われ、最期は家臣に裏切られて自刃し武田家は滅亡しました。
私が夢で見聞きしたことと史実を突き合わせながら高島城を見学していると、セオリさんは道澄さんだった彼が気に入っているようで、ずっと彼の隣で楽しく話をしていました。
「ねえコノハ、このままだと彼を取られちゃうよ」
セキナ姉さんが私に耳打ちしました。
「えっ…」
私は二人の方に目を向けました。特に妬けるような気持にはなりませんでした。
「別に二人が良いなら、それで私は構わない」
と小さく答えました。
河口湖で出会い、カムイみさかで一緒にスキーをした頃の彼への気持ちと、夢で長い時間を過ごして来た今の自分では、彼への気持ちが違います。私にとって彼は恩人の一人ですが、私は彼ではなく、もう会うことができない道澄さんに惹かれているのだと思いました。
つづく