あの夢の世界にいた頃は辛くて早く戻りたいと思ったけれど、解決した今ではもう一度あの時代に行って道澄さんに会いたいと思うことがあります。夢の中だけでも会いたいと思っても彼を夢で見ることはできませんでした。
その日のホテルの夕食会場でも彼の隣の席はセオリさんでした。彼は夢の中の道澄さんと同じようにセオリさんに付き合って沢山のお酒を飲んでいました。
「今夜はみんなで一緒の明晰夢が見れたらいいな。ねえ、もし夢の中で私を見掛けたら、私が私として認識できるように、セオリって声を掛けてよ」
「難しい注文をしますね。まぁ、試すだけ試してみますが」
「絶対だよ!今度は私も仲間に混ぜて欲しい」
セオリさんは彼に念押しをしていました。
そうして夜は更け、夕食会場を後にしました。女性三人は同じ部屋ですが、セオリさんは飲み過ぎたらしく、部屋に入るとベットに倒れるように寝てしまいました。私はセキナ姉さんと少し話してからベットに入りましたが、なかなか寝付けませんでした。
翌朝、私は朝食時間に合わせたアラームより大分早く目が覚めてしまいました。ただ、どんな夢を見たのか、それとも夢を見ていないのか全く覚えていません。私は寝ているセキナ姉さんとセオリさんを部屋に残し、ホテルの前にある湖畔の公園を散歩することにしました。
つづく