二人はトランクルームから出される自分の荷物を取りに行った。
「なぁ、ヒマリ、お前はスキー場、初めてだろ。どうよ?」
にこにこしながら背の高い男の子がヒマリという小さな男の子に言った。
「すごい!でも春なのに寒い。ユウヤはこれで今年は何回目なの?」
ヒマリは背の高いユウヤに尋ね返した。
「日帰りも入れて今日で20日目かな。ウチの父さん、馬鹿が付くほどスキー大好き人間だから」
笑いながらユウヤが答えた。
「ボクはちゃんと滑れるかなぁ?」
「大丈夫だろ。だって、ヒマリは去年の夏にウォータージャンプで滑れてたじゃん」
「でも、あれは真っ直ぐだし、止まらなくて良かったし・・・」
「お前は運動神経良いから、直ぐ滑れるようになるって」
ユウヤは笑いながらヒマリの不安に応えた。
大きなユウヤは声も大きく、小さなヒマリは声も小さかった。
殆ど一式をレンタルするヒマリの荷物は少なかったが、ユウヤは自前のスキーで大荷物だった。
つづく