3.2 オコジョから聞いた森が無くなる話 ③

「う~~ん・・・。実は、ヒマリの左耳には不思議な声が聞こえるんだって」

 ユウヤは迷いながらツキハに答えた。

 

「えっ、不思議な声?」

 

「ああ、動物や虫の声が聞こえるらしい。みんな信じないけど、オレは信じている」

 

「じゃあ、やっぱり何かいたのね?」

 

「そうだと思う」

 

「ウサギ?あっ、オコジョ!」

 ツキハは思わず声を上げた。

 

「オコジョ?」

 ユウヤが聞き返した。

 

「このスキー場って、昔はオコジョが住んでいたらしいの。今は姿を全然見なくなってしまったけど」

 ツキハはそう答えた。

 

 

 ヒマリはナイターの灯りが届かない森の中のゲレンデに入って行った。

 

『ねー、どこまで行くの?』

 ヒマリが後ろからオコジョに声を掛けると、オコジョは止まった。

 

『そろそろいいか』

 小さなオコジョは後ろを向き、ピョコっと立ち上がった。

 

『ボクに何か話があるの?』

 ヒマリが尋ねた。

 

『あぁ。お前の秘密を内緒にしてやるから、言うことを聞いてよ』

 オコジョは小さな胸を大きく張って偉そうに口を利いた。

 

『えっ?でも、内緒って言っても、キミたちの言葉はボクしか分からないよ』

 

 

  つづく

 

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