4.2 あの時の知られたくなかったこと ④

「おいおい、ダブルバックフリップかよ。スゴイな。一体誰なんだ?」

 コーチの男性が驚きながら呟き、参加者リストを探した。

 

「すごぉー!これはハルカさんのコーク7といい勝負!」

 ミスズも驚いていた。

 

「ハルのライバルだね」

 長身のミコトが振り向き、笑顔で言った。

 

「関係ない。俺は俺でフリーに飛ぶだけだ」

 笑顔を向けられたハルトは全く表情を変えずに応えた。

 

「この子の名前・・・、どこかで見たことがあるな?」

 そのコーチはリストを見ながら何かを思い出し掛けていた。

 

 

 キッカーの下では、飛び終わったヒマリをユウヤとツキハが迎えていた。

 

「お前、やっぱり最高だよ!」

 ユウヤがヒマリの頭をヘルメットの上からポカポカと叩く。

 

「スゴイスゴイ!最初だから1回転で止めると思ったけど、いきなり2回転なんて本当にスゴイよ!」

 ツキハもはしゃいでいた。

 

「ありがとう。2回転は体操教室のトランポリンで練習しているから」

 ヒマリも嬉しそうな声だった。

 

「これにスキーを掴んだグラブが加われば、ハルトに勝てるよ!」

 ツキハがゲレンデの上の方を見て力強く言った。

 

 ツキハが見る先にはハルトがいた。

 

 

  つづく

 

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