5.1 紙袋に入れられた小さな命 ②

 やがて、残された二匹の子猫は目も開いて可愛い盛りになった。その子猫を他の家の人が見に来て、子猫と一緒に遊んでいた。子猫はその人によく懐き、楽しくじゃれていた。すると、その子猫を他の家の人が抱き上げて、そのまま連れて行ってしまった。

 また別の日に別の人が来て、残されていた子猫を連れて行った。

 

 母猫はいなくなった子猫を探した。四匹だった子猫は、もう一匹もいない。幾ら呼んでも戻って来ない。幾ら探してもどこにもいない。とても寂しかったが、最初にいなくなった二匹を含めて、きっと他の家で幸せに暮らしていると母猫は思った。

 

 季節が過ぎ、そのキレイな三毛猫は再び恋をした。そして母になった。

 

 それは、朝から暑い夏の日だった。

 段ボール箱の中から子猫の賑やかな鳴き声が聞こえて来る。三毛猫は恋を結実して五匹の子猫を生んだが、一匹は死産で、残された4匹を大事に育てていた。

 その朝、まだ目も開かない子猫が再び連れて行かれようとしていた。

 女性が母猫の頭を撫でようとしたが抵抗した。

 

 

  つづく

 

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