「ユウヤ選手の得点は50点です。2本目に期待しましょう」
ユウヤは着地後にストックを雪面に叩きつけて悔しがった。体操教室の女の子たちからは励ましの声が掛けられたが、ユウヤは応えることなく引き上げて行った。
ユウヤがリフト乗り場に向かう途中でゲレンデの上を見ると、ハルトがミドルキッカーのスタート位置に立っていた。選手紹介が始まった。
「ハルト選手の好きな食べ物はサバ、好きなものは自由ですか。さて、スタートしました。緩やかなカービングからの~コーク9、決めたー!!いやー流れが美しい」
ユウヤは立ち止まってハルトのジャンプを見ていた。
「ヒマリに負けず、あいつもスゲーな。いきなり2回半まで回して来た」
ユウヤはハルトのジャンプに感心した。
後ろ向きで着地をしたハルトは採点も待たず、スッと向きを変え、まるで公式練習の続きのようにそのままリフト乗り場に向かった。
「ハルト選手の得点はー、・・・87点、ヒマリ選手を追っています。2本目が楽しみですね」
ハルトの得点がアナウンスされて会場が沸く中、ユウヤとハルトはリフト乗り場で一緒になった。二人は気まずい感じで顔を見合った。
つづく