7.4 昼凪のインターバル! ②
「私もスキーのエアリアルは知っていたけど、ビックエアという競技があることは知らなかったんだ。エアリアルより飛距離があって、自由度が高い感じかな。身体の使い方は体操とほぼ共通している。ただ、滑ってから踏み切るという動作が体操にはない。だから、普通は初スキーで2回宙返りなんて挑戦できるものじゃない。普通はな!」
そのコーチはじっとヒマリを見た。
「まあ、ヒマリだしな」
一人の男子が言った。
「そうよね。ヒマリ君だし」
女子の一人も言った。
「もう、夏も冬もオリンピックに出ちゃえよ!」
別の男子が言った。
「えっ、ええー」
ヒマリは応えに困っていた。
「ねえ、ヒマリくんって体操教室でどんな子なの?」
ツキハがユウヤに訊ねた。
「ヒマリには数々の逸話があるんだ。中でも、レッスンをさぼって屋上で昼寝をしているのがバレて、コーチに追い掛けられて屋上から飛び降り、クルクル宙返りして着地したのが伝説になってる」
ユウヤがツキハに答えた。
「えっ、昼寝がバレて屋上から飛び降り?」
ツキハが驚いて聞き返した。
つづく