
「よく分からないこともあるけど、ヒマリ君の気持ちは分かったよ。優勝したら、ヒマリ君に最高のインタビューをしよう。決勝、頑張ってね」
彼はそう言って席を立った。
「ねえ、ヒマリくん、オコジョに姿を見せるように頼めないの?」
ツキハが何か思い付いたように言った。
「えっ?オコジョに頼む?」
「そう。ケータさんが探しても見つからなかったオコジョが姿を見せたら、このスキー場の社長だって考えを変えるかも」
ツキハは思い付きを口にした。
「確かに。口だけで言っても信じて貰えないからな」
ユウヤは賛成だった。
「でも、いつ行くの?」
ヒマリは訊ねる。
「今でしょ!まだ決勝まで時間があるし」
ツキハが応えた。
「じゃあ、二人で森に行って来いよ。オレは練習用のキッカーで少し試したいことがあるから何本か飛んで来るよ。じゃあ、お先に」
ユウヤはそう言って席を立った。
「えっ?ユウヤ・・・」
ヒマリがそう言った時、もうユウヤは行った後だった。
「行こう。ヒマリくん。私にオコジョを紹介して」
ツキハが笑顔で言った。
二人は席を立ち、食器を片付けるとホテルのレストランからゲレンデに出て、森の方に向かって行った。
つづく