7.7 遥かなるビックエア! ③

「どうしてあんなジャンプになったんだ?」

 ユウヤが歩きながら訊ねた。

 

「何も考えていなかった。ただ大きく飛びたかった。さっき、ユウヤが意地悪だったからだよ」

 

「オレが意地悪?ツキハのことか?」

 

「うん。・・・ツキハのことは嫌いじゃない。でも好きとか嫌いとか、そんなの今は考えたくない。・・・それにユウヤのことが、もっと好きだし」

 そう言ってヒマリは笑った。

 

「あっ、ああー!ヒマリ、頭を打った訳じゃないよな?」

 

「えっ?頭、打ったかも?お尻も。あれ?尻尾がない。尻尾がないよ~、さっき落としたかも」

 ヒマリは腰の辺りを触りながらフザケ半分に答えた。

 

「何をバカなこと言ってるんだ。何が尻尾だよ」

 ユウヤが笑った。

 

「あ、ユウヤ、やっと笑ったね」

 ヒマリも笑顔だった。

 

「尻尾なんて落ちてなかったぞ!ほら」

 ハルトは外れたヒマリのスキーを回収して来た。

 

「あっ、ごめん。尻尾は外してた。ありがとう」

 ヒマリはハルトに明るくお礼を言った。

 

「なんか、前のヒマリみたいだな。冗談ばっかで」

 ユウヤが嬉しそうに言った。

 

 

  つづく

 

【目次】【前話】【次話】