「どうしてあんなジャンプになったんだ?」
ユウヤが歩きながら訊ねた。
「何も考えていなかった。ただ大きく飛びたかった。さっき、ユウヤが意地悪だったからだよ」
「オレが意地悪?ツキハのことか?」
「うん。・・・ツキハのことは嫌いじゃない。でも好きとか嫌いとか、そんなの今は考えたくない。・・・それにユウヤのことが、もっと好きだし」
そう言ってヒマリは笑った。
「あっ、ああー!ヒマリ、頭を打った訳じゃないよな?」
「えっ?頭、打ったかも?お尻も。あれ?尻尾がない。尻尾がないよ~、さっき落としたかも」
ヒマリは腰の辺りを触りながらフザケ半分に答えた。
「何をバカなこと言ってるんだ。何が尻尾だよ」
ユウヤが笑った。
「あ、ユウヤ、やっと笑ったね」
ヒマリも笑顔だった。
「尻尾なんて落ちてなかったぞ!ほら」
ハルトは外れたヒマリのスキーを回収して来た。
「あっ、ごめん。尻尾は外してた。ありがとう」
ヒマリはハルトに明るくお礼を言った。
「なんか、前のヒマリみたいだな。冗談ばっかで」
ユウヤが嬉しそうに言った。
つづく