7.7 遥かなるビックエア! ⑧

 会場が微妙な雰囲気になり掛けていた頃、森ではオコジョの子と長老猿が表彰式の様子を見ていた。

 

「どうするんだ?このままにして置くのか?」

 長老猿がオコジョの子に訊ねた。

 

「ううぅ」

 オコジョの子は答えられなかった。

 

 インタビューでは、優勝した子どもたちのためにも森は残した方が良いとケータさんがフォローし、プレゼンテーターとしてその場にいるスキー場の社長に話を振ってくれた。

 しかし、社長は応じなかった。会場の反応もバラバラだった。そして早く進めるように巻きが入った。

 

 その時、老猿と白い小動物が現れた。

 

「猿?」

「ウサギ?」

 

 会場から声が上がった。

 

 白い小動物はヒマリの身体をスルスル登り、ヒマリの肩の上に立った。

 

『ヒマリ、おめでとう!』

 オコジョの子がヒマリの耳元で言った。

 

『ありがとう。よく来てくれたね』

 ヒマリは笑顔で応えた。

 

「ウサギじゃない。オコジョだ!」

「本当にオコジョがいるんだ!」

 会場から驚きの声が次々に上がった。

 

 

  つづく

 

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