1.3 三人で滑る初めての林間コース ③

 コースの中に幾つもの自然の木々が茂っていて、スピードを出した滑りはできない。しかし、このスキー場で人気の林間コースで、森の息吹を感じながら木と木を縫うように滑ることができた。

 

 コース下のリフト乗り場の横で待つユウヤとツキハの所に、ヒマリが少し遅れて姿を見せる。

 

「ヒマリくんって、本当にスキー場で滑るのが初めてなの?」

 ツキハが驚きながら言った。

 

「本当みたいだけど、ちょっとシャクに障る」

 ユウヤは呆れたように言った。

 

 ヒマリは二人の前で両足を揃えてスキーのブレーキを掛け、左足を前に「シュッ」と止まった。

 

「ヒマリくん、すごく上手く滑れるじゃない。初めてとは思えないよ」

 ツキハが声を掛けた。

 

「えっ、ごめん。よく聞こえなかった」

 横を向いていたヒマリがツキハの方を向いた。

 

「あっ、私こそゴメンなさい。ヒマリくんって左耳が聞こえないんだっけ」

 ツキハが謝った。

 

 

  つづく

 

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