
森の中のゲレンデに架かるリフトに三人は並んで乗っていた。ヒマリが一番左で、ツキハは一番右に座っていた。
ツキハがリフトの安全バーから身を乗り出し、二人の方を向いた。
「ねえ、去年のウォータージャンプの時みたいに飛んでみない?」
ツキハが含みのありそうな笑顔で提案した。
ツキハは右手を上げ、ストックの先を隣のゲレンデに向けた。
リフトがガタンと揺れた。
三人はゲレンデ下部の緩斜面にある小さいキッカーのスタート位置にいた。他にも数人が並んでいる。次がツキハの番だった。
ツキハがスタートし、低くしゃがみ込んだ状態から捻りを作り、キッカーの踏切部分で大きく身体を伸ばした。ツキハは捻りが解放されて高く上がりながら横に回転し、揃ったスキーの横を片手で掴み、反対の手を空に向かって伸ばした。
頂点では切り取りたくなるポーズとなった。1回転を終えて斜面にストンと着地する。
ヒマリとユウヤは見惚れていた。
つづく
