2.3 ウォータージャンプをしながら花火大会見物 ②

 三人が練習するレーンの横は、より大きいジャンプ台だった。そこでは男女混じった年齢もレベルもバラつきのある十数名が、ジャンプ台の上とプールサイドにいるキャップを被りサングラスを掛けたコーチからレッスンを受けていた。

 

 ツキハがプールサイド側にいるコーチの傍に近付いて行った。

 

「ねぇ、見てた?さっき知り合った子、私と同い年、スゴイでしょ」

 ツキハが自慢気に言った。

 

「ああ、凄いな。普段はどこで練習をしているんだ?」

 そのコーチは視線をジャンプ台に向けたままツキハに応えた。

 

「どこで、じゃないのよ。今日がスキーもジャンプも初めてなんだって!」

 興奮気味にツキハが続ける。

 

「初めて?本当か??」

 今度はツキハをしっかり見てコーチは応えた。

 

「ほら、飛ぶよ!」

 まるで憧れの存在でも見るかのようにツキハはヒマリを見ていた。

 

 ジャンプ台の先端で勢いよくヒマリが踏み切った。ヒマリは更に高く飛び、ゆっくりと2回転をして着水した。

 

 通常の2回転はコマのように回転が速いが、ヒマリは滞空時間が長く、回転速度が若干遅かった。

 

「720、凄いなんてものじゃないな!」

 コーチは感嘆した。

 

「でしょ。私が教えたんだよ。じゃあ、休憩するね、お父さん」

 そう言ってツキハは笑顔でその場を後にした。

 

 

  つづく

 

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