3.1 ライバル登場、俺はフリーでしかスキーしない ③

「おいおい、あれってコーク7じゃないの?」

 ユウヤは洒落にならない顔付きになった。

 

「そう。コーク720。それもミュートグラブ付き。彼にはジュニアじゃ誰も勝てない」

 ツキハが静かに答えた。

 

 背の高い少年がツキハに気付いたようで近寄って来た。

 

「あれ、ツキハじゃない。これから練習?」

 

「えっ、うん。それより、ミコトくん、スゴイね。スイッチ540なんて」

 

「そんなことないよ。僕なんてまだまだ」

 背の高い少年はそう応え、

「ハル~、ミスズ!ツキハがいたよー」

 と他の二人に声を掛けた。

 

 少女の方はコーチに指導を受けている最中で、一瞬だけ振り向いて手を上げて、またコーチの方を向き直った。一方、細身の少年はスケーティングをしながらツキハの元へ近付いて来た。

 

「ハルト、白馬の大会以来だね?」

 

「ああ」

 

「コークにミュートグラブまで入れるようになったんだ」

 

「ああ、その方がコーチがカッコイイって言うからな」

 

「スタイル出てるよ!」

 

「そうか?俺はフリーでしかスキーしない。自由に飛ぶだけだ」

 

 感情豊かなツキハに対し、ハルトという少年は妙に冷めていた。

 

 

  つづく

 

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