ライバル三人がいなくなってからもヒマリたちは練習をしていた。
その様子を一匹のオコジョが隠れて見ていた。まだ子どものオコジョだった。ヒマリはキッカーから少し離れた所で空中での姿勢の確認をしていた。
『あのこ、人間の姿をしているだけで、きっと仲間だ』
その小さなオコジョはヒマリがいる方に向かって行った。
『ねぇ、聞こえているんでしょ!』
それは人間には小さな小さな鳴き声だった。
ヒマリの左耳はその声を拾い、ヒマリは声がする方を振り向いた。視線を下げると、そこには小さなオコジョの姿があった。
『誰?どうして話ができると分かったの?』
ヒマリはしゃがんで顔を近付けた。
『オコジョだよ。お前が普通の人間じゃないのは分かるよ。ずっと隠れて暮らしているから敏感なんだって、父ちゃんが言ってた』
『オコジョ?そうなんだ。ボクのことは内緒なんだけど』
『内緒?内緒なのか?他の人間を騙しているのか?』
『騙しているわけじゃないよ』
ヒマリとオコジョはヒソヒソと話したが、その様子にツキハは気が付いた。
つづく