3.2 オコジョから聞いた森が無くなる話 ①

 ライバル三人がいなくなってからもヒマリたちは練習をしていた。

 

 その様子を一匹のオコジョが隠れて見ていた。まだ子どものオコジョだった。ヒマリはキッカーから少し離れた所で空中での姿勢の確認をしていた。

 

『あのこ、人間の姿をしているだけで、きっと仲間だ』

 その小さなオコジョはヒマリがいる方に向かって行った。

 

『ねぇ、聞こえているんでしょ!』

 それは人間には小さな小さな鳴き声だった。

 

 ヒマリの左耳はその声を拾い、ヒマリは声がする方を振り向いた。視線を下げると、そこには小さなオコジョの姿があった。

 

『誰?どうして話ができると分かったの?』

 ヒマリはしゃがんで顔を近付けた。

 

『オコジョだよ。お前が普通の人間じゃないのは分かるよ。ずっと隠れて暮らしているから敏感なんだって、父ちゃんが言ってた』

 

『オコジョ?そうなんだ。ボクのことは内緒なんだけど』

 

『内緒?内緒なのか?他の人間を騙しているのか?』

 

『騙しているわけじゃないよ』

 

 ヒマリとオコジョはヒソヒソと話したが、その様子にツキハは気が付いた。

 

 

  つづく

 

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