3.2 オコジョから聞いた森が無くなる話 ⑤

 森がなくなり、自分たちの棲み処もなくなってしまう。小さな子どものオコジョはとても心配していた。

 

『話は分かったよ。でも、ボクにどうして欲しいんだい?』

 

『なあ、他の人間に言って木を切るのを、森を無くすのを止めておくれよ』

 

『えっ・・・』

 

『お前はオコジョの言葉が分かるんだから、他にもスゴイ力があるんだろう!頼むよ、森を守っておくれよ』

 

『ごめん。ボクはキミの言葉が分かるだけで、他には何の力もないよ』

 

『そうなのか?』

 

『キミたちのことは可哀そうだと思うけど、ボクは何の力にもなれない』

 

『なんだ、父ちゃんの言った通りだった。期待するんじゃなかった』

 そう言うと小さなオコジョはヒマリに背を向け、寂しそうに暗闇の方に消えて行った。

 

 

 ヒマリがナイターの灯りに照らされたキッカーのある場所に戻って来て、それを見たツキハはヒマリの方に近付いて行った。

 

「ヒマリくん!」

 

「ごめん。少し時間が掛かった」

 

「トイレじゃないんでしょ」

 

「えっ?」

 

「オコジョと話したの?」

 

 

  つづく

 

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