ツキハの問いにヒマリはユウヤの方を向いた。ユウヤもヒマリの近くに来た。
「ゴメン。お前の左耳のこと、ツキハに話した」
ユウヤは右手を顔の前に持って来て軽く頭を下げた。
「私、ヒマリくんのこと、変なんて思わないよ。ちゃんと信じるよ!」
ユウヤの謝罪にツキハが続いた。
「ボク、オコジョに頼まれたんだ。森を無くさないでくれって、棲み処を奪わないでくれって」
ヒマリは静かに森での出来事を二人に話した。
ヒマリの話を聞いたツキハは、自分が知っていることを二人に話した。
スキーブームが終わって、スキー場の来場者が減った分を夏場で穴埋めしないといけなくなり、大木周辺を伐採し、プールやバーベキュー場などのレジャー施設を作る計画があるようだった。
反対運動もあったが、地元の雇用確保が優先されたらしい。
ただ、施設を作る資金確保の見通しが甘かったようで、プールなどを建てる計画は見直されることになった。それでも、資金調達ができれば直ぐに建設できるように、春を迎えたら森の伐採だけ先に実行される。
「なんだ、お金がないなら森を残せばいいのに」
ユウヤが嘆くように呟いた。
つづく