3.2 オコジョから聞いた森が無くなる話 ⑥

 ツキハの問いにヒマリはユウヤの方を向いた。ユウヤもヒマリの近くに来た。

 

「ゴメン。お前の左耳のこと、ツキハに話した」

 ユウヤは右手を顔の前に持って来て軽く頭を下げた。

 

「私、ヒマリくんのこと、変なんて思わないよ。ちゃんと信じるよ!」

 ユウヤの謝罪にツキハが続いた。

 

「ボク、オコジョに頼まれたんだ。森を無くさないでくれって、棲み処を奪わないでくれって」

 ヒマリは静かに森での出来事を二人に話した。

 

 

 ヒマリの話を聞いたツキハは、自分が知っていることを二人に話した。

 

 スキーブームが終わって、スキー場の来場者が減った分を夏場で穴埋めしないといけなくなり、大木周辺を伐採し、プールやバーベキュー場などのレジャー施設を作る計画があるようだった。

 反対運動もあったが、地元の雇用確保が優先されたらしい。

 ただ、施設を作る資金確保の見通しが甘かったようで、プールなどを建てる計画は見直されることになった。それでも、資金調達ができれば直ぐに建設できるように、春を迎えたら森の伐採だけ先に実行される。

 

 

「なんだ、お金がないなら森を残せばいいのに」

 ユウヤが嘆くように呟いた。

 

 

  つづく

 

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