3.2 オコジョから聞いた森が無くなる話 ⑦

「私もそう思う。だけど、一度決まったら簡単には止められないって、お父さんが言ってた」

 ツキハが大人の事情を代弁した。

 

「ボクたちじゃ、どうにもできないよね」

 ヒマリが小さく言った。

 

「そうだな・・・」

 とユウヤが続いた。

 

「でも、明後日の大会に優勝したら、その場で社長に頼めるかも?」

 ツキハが思い付きを口に出した。

 

「えっ、どうして?」

 ヒマリが尋ねた。

 

「毎年行われている大会なんだけど、ジュニア部門の優勝者にも賞状と賞品が出る。その賞状や賞品を渡す人って、このスキー場とホテルを経営している社長なの。優勝インタビューもあるから、ダメで元々で直談判できるかも?」

 ツキハは考えを整理しながら二人に提案した。

 

「いいね、それ。無下にダメとは言えないだろうし」

 ユウヤは笑顔でその提案に乗った。

 

「簡単に言うけど、そもそも誰が優勝するの?」

 ヒマリは渋い顔で二人に言った。

 

 ツキハとユウヤはヒマリに指を向けた。ヒマリの顔は更に渋くなって行った。

 

 

  つづく

 

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