4.2 あの時の知られたくなかったこと ②

「あいつらだけコーチが付いているのか、何かイイな!」

 ふとユウヤが熱心な指導を受けている様子を見て呟いた。

 

「仕方がないよ。あのコーチの秘蔵っ子だし。私の知り合いなんて、みんな役員か選手のどっちかだから、誰も自分のことで手一杯で、相手なんかして貰えない」

 ツキハがユウヤに応えた。

 

「さっきの練習、せめて体操教室のコーチが一人でも見てくれれば、技の難易度をもっと上げられたのに」

 ユウヤは悔しそうだった。

 

「仕方がないよ。ボクたちが勝手に大会に参加するんだし」

 ヒマリが窘めるように答えた。

 

「まぁ、そうだな。でも他の選手にもコーチが付いているように見えないな?」

 納得したユウヤは、新たな疑問を口にした。

 

「ワールドカップやオリンピックじゃないから、コーチなんて付かないよ。プロスキーヤーって言っても、それだけじゃ生活が厳しいから、みんな他の仕事をしているの。ウチのお父さんも、夏はトレーナーとかスポーツショップの販売員とか色々してるよ」

 その問いにツキハが答えた。

 

「そうなんだ。もっと派手な世界かと思ってた」

 今度はヒマリが反応した。

 

 

  つづく

 

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