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猫だって人間だって何かを犠牲にして生きている。生きている限り、知らず知らずに殺生を繰り返している。見方を変えれば、お前を含めて間引きされたことで他のお前の血族は大事にされ、今でも生き残っている。みんな人間の身勝手だけどね。
まぁ、これでお前の望みは全て果たしたんだ。さあさあ、地獄に行くがいい』
狐の霊はそう語り、三毛猫の霊に迫った。
『嫌だ、嫌だ。こんなの嫌だ』
三毛猫の霊は激しく迫って来る狐の霊に抵抗した。
『全てお前の恨みが招いたことだ』
狐の霊は恐ろしい悪霊となって三毛猫の霊の周りを形を変えながら漂った。
『あの人の子にも何の罪はなかった。それなのにわたしは憎さや悔しさを、こんな恨みにして晴らそうとしてしまった。わたしが馬鹿だった。お願い、マリを助けて!人の子のヒマリを助けて!』
三毛猫の霊は悪霊に襲われながら強く強く訴えた。
三毛猫の霊が悪霊に取り囲まれ、丸ごと喰らわれてしまったと見えた時、中から一瞬の光が四方に弾けた。そして真っ白で何も動くことができない空間が広がった。
つづく