6.1 棲み処を失ったカヤネズミの家族 ④

『お前が怖くて喋れなかっただけだ』

 子ネズミは怒っていた。

 

『この家に逃げて来たの?』

 ヒマリが優しく訊ねた。

 

『違うよ!ススキが沢山生えている場所があるからって、みんなで引っ越す途中だったんだ。それなのに、この猫に追い掛けられて捕まっちゃったんだ。いつ食べられてしまうのかと、ずっと怖かったよ!!』

 子ネズミは泣きながら抗議した。

 

『それは酷いね。トラ、謝りな!』

 ヒマリが茶トラの猫にキツク言った。

 

『なんで猫がネズミに謝んなきゃいけないのさ』

 茶トラの猫は反発した。

 

『そのカヤネズミは悪さをする家ネズミではないよ。お前の遊びたい気持ちも分かるが、大きなお前はその子ネズミにとっては恐怖そのものだったろうよ』

 と老猫が諭した。

 

『はいはい。ごめんなさい』

 茶トラの猫は不満そうな態度で渋々謝った。

 

『逃がしてあげようよ。他の家族が行った場所は分かるかい?』

 ヒマリがそう言った。

 

 

  つづく