7.2 失速のカービング! ③

「ミスズ選手、高いアイアンクロスバックフリップでした。やっぱり焼肉パワーですかねー。そして得点は70点、一人目から高い点が出ました。次の選手、やり難いですねー」

 MCが技の紹介と採点結果を伝え、会場からは笑いが起こった。

 

 ツキハはスタートエリアからそれを見ていた。スタートはジュニア女子からジュニア男子の順で、ツキハが女子の最後、ヒマリは男子の最初、次がユウヤになっていた。

 

「ミスズ、ジャンプはとても良かったのに、あの紹介はちょっと可哀そう。ケータさん、意地悪だなー」

 ツキハが呟いた。

 その近くにはヒマリとユウヤもいた。

 

「しまったー!大会の申込用紙にスキーと関係がない所があると思ったけど、まさか選手紹介で読まれるなんて」

 ユウヤは頭を抱えた。

 

「あれ?申込は自分でしなかったんでしょ?」

 ツキハが不思議そうに訊ねた。

 

「だから問題なんだよ。親がネットの申込みで何を書いたか全く知らない」

 ユウヤが慌てた様子で答えた。

 

「大丈夫だよ。ユウヤの両親ならきっと面白いことを書くから」

 ヒマリが笑顔で慰めた。

 

 

  つづく

 

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