「ミスズ選手、高いアイアンクロスバックフリップでした。やっぱり焼肉パワーですかねー。そして得点は70点、一人目から高い点が出ました。次の選手、やり難いですねー」
MCが技の紹介と採点結果を伝え、会場からは笑いが起こった。
ツキハはスタートエリアからそれを見ていた。スタートはジュニア女子からジュニア男子の順で、ツキハが女子の最後、ヒマリは男子の最初、次がユウヤになっていた。
「ミスズ、ジャンプはとても良かったのに、あの紹介はちょっと可哀そう。ケータさん、意地悪だなー」
ツキハが呟いた。
その近くにはヒマリとユウヤもいた。
「しまったー!大会の申込用紙にスキーと関係がない所があると思ったけど、まさか選手紹介で読まれるなんて」
ユウヤは頭を抱えた。
「あれ?申込は自分でしなかったんでしょ?」
ツキハが不思議そうに訊ねた。
「だから問題なんだよ。親がネットの申込みで何を書いたか全く知らない」
ユウヤが慌てた様子で答えた。
「大丈夫だよ。ユウヤの両親ならきっと面白いことを書くから」
ヒマリが笑顔で慰めた。
つづく