7.2 失速のカービング! ④

「それ、大丈夫じゃねーから!体操教室の笑い者だから。ウチの親、絶対ウケ狙いで書くから」

 ユウヤは困惑しながらキッカー横の観戦エリアの方を睨んだ。

 

「ねえ、ヒマリくん、オコジョって応援に来ているのかな?」

 ツキハが訊ねた。

 

「うん。さっき、がんばれって声が聞こえたから、どこかで隠れて見ているよ」

 オコジョの声は風に乗ってヒマリに届いていた。

 

「そっか、じゃあ、がんばらないとね」

 ツキハが応えた。

 

 ツキハが係員に呼ばれ、ミドルキッカーのスタート位置に向かった。選手紹介がアナウンスされる。

 

「ジュニア女子の最後はツキハ選手です。好きな食べ物は、お父さんのピザ。彼女は本当にお父さん思いなんですよ。いやー泣かせますねー。好きなものは、猫。因みに私も猫派ですね。それではスタートです」

 

 ツキハがスタートする。

 

「ツキハ選手、直滑降でキッカーに向かって、飛んだー!・・・540テールグラブ!!着地も安定して実にエレガントでキレイですねー。・・・そして得点は、72点!僅差で女子のトップです」

 

 飛び終えたツキハは、ゲレンデの上に向かって大きく手を振って喜んだ。

 

 

  つづく

 

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