7.5 心のメタモルフォーゼ! ③

『その考えも理解はできる。しかし、無理じゃな』

 長老猿が断った。

 

『ヒマリとこの子だけならいいけど、他の人間は嫌だよ。怖いから』

 オコジョの子も断った。

 

『人間の前に姿を見せるなど、到底オコジョにはできないことだ。なぜ、オコジョが減ったと思う』

 長老猿が二人に訊ねた。

 

『山がスキー場になって棲み処がなくなったから?』

 ヒマリが答えた。

 

『それもあるがそれだけじゃない。もっと深刻なことがある』

 長老猿は次の答えを求めた。

 

『もしかしたら人間に狩られてしまったの?』

 次はツキハが答えた。

 

『そうだ。お前の方が賢いな。オコジョは山の神の使いとして人間に大事にされた頃もあった。しかし、白い毛皮が高く売れると分かったら、人間たちは必要もないのに毛皮を剥がして売るようになった。殆どが人間に狩られたんじゃよ』

 長老猿はそう語った。

 

『でも、前はそうだったかも知れないけど、今は人間だってそんな酷いことしないよ』

 ヒマリは反論した。

 

 

  つづく

 

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