決勝は予選の下位から上位へのランク順に、ジュニア男子、オープン男子、公式戦女子、公式戦男子の順で各1本を飛び、2本目も同じ順番で飛ぶことになっていた。
ヒマリはツキハと二人でリフトに乗っていた。
「ヒマリくんが聞こえていた世界って、あんなだったんだね。感動しちゃった。他のみんなにも聞こえればいいのにね」
ツキハはヒマリを見ながら、そう話し掛けた。
「うん」
ヒマリはツキハを見ることなく小さく応えた。
「オコジョのこと、なかなか上手く行かないね。でも諦めちゃダメだよ。考えれば他に手はあるよ」
ツキハはヒマリに強く言った。
「うん」
ヒマリは小さく返した。
「きっと大丈夫だよ。まずは決勝もクルクルって決めて優勝だね」
ツキハはヒマリの顔を見て明るく言った。
「そんなに簡単に言わないでよ!」
ヒマリは強い口調で言い返した。
「あっ、ごめん」
ツキハは直ぐに謝った。
つづく