7.5 心のメタモルフォーゼ! ⑥

 決勝は予選の下位から上位へのランク順に、ジュニア男子、オープン男子、公式戦女子、公式戦男子の順で各1本を飛び、2本目も同じ順番で飛ぶことになっていた。

 

 ヒマリはツキハと二人でリフトに乗っていた。

 

「ヒマリくんが聞こえていた世界って、あんなだったんだね。感動しちゃった。他のみんなにも聞こえればいいのにね」

 ツキハはヒマリを見ながら、そう話し掛けた。

 

「うん」

 ヒマリはツキハを見ることなく小さく応えた。

 

「オコジョのこと、なかなか上手く行かないね。でも諦めちゃダメだよ。考えれば他に手はあるよ」

 ツキハはヒマリに強く言った。

 

「うん」

 ヒマリは小さく返した。

 

「きっと大丈夫だよ。まずは決勝もクルクルって決めて優勝だね」

 ツキハはヒマリの顔を見て明るく言った。

 

「そんなに簡単に言わないでよ!」

 ヒマリは強い口調で言い返した。

 

「あっ、ごめん」

 ツキハは直ぐに謝った。

 

 

  つづく

 

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