7.5 心のメタモルフォーゼ! ⑦

「少し運動ができるだけで、ボクは他に何かできる訳じゃない。優勝できたってオコジョの森を守れるか分からない」

 ヒマリはツキハから視線を外した。

 

「私、ヒマリくんの気持ち、全然考えてなかった。簡単じゃないよね。でも、あと少し頑張ろうよ。サポートが必要かも知れないから私もスタートエリアに入ろうか?」

 ツキハはヒマリを見ていた。

 

「ボクなら大丈夫だよ」

 ヒマリは遠くを見たまま小さく応えた。

 

「そう。じゃあ、またヒマリくんとユウヤのお母さんの所で観ていようかな?」

 ツキハも遠くを見ながら小さく言った。

 

「そうだね」

 ヒマリの返事は少し冷たかった。

 

 

 リフトを降りたヒマリがツキハと分れてスタートエリアに来ると、ユウヤが迎えてくれた。

 

「あれ?ツキハは?こっちに来なかったの?」

 一人だけで来たヒマリを見て、ユウヤが訊ねた。

 

「うん。あっ?ユウヤは来て欲しかった?ボクが断っちゃった」

 ヒマリは慌てて答えた。

 

 

  つづく

 

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