「お前さぁ、もう少しツキハのことを考えろよ。優しくしてやればいいのに」
ユウヤは呆れたように言った。
「えっ?」
ヒマリには意味が分からない。
「お前とツキハ、お似合いだよ!ツキハってよく気が利くし」
「お似合いなんて、そんなことないよ」
「ツキハのこと、一昨日の夜は好きとか言ったけど、お節介でやっぱりダメだわ。オレには合わない」
ユウヤは大袈裟に身振り手振りでダメを表現していた。
「それ、ウソでしょ」
ヒマリは強く言った。
フザケ半分だったユウヤの表情が硬くなった。
「ツキハが好きなのはお前なんだ。だから、オレのことは気にするな!」
ユウヤは厳しい口調に変わっていた。
「やだよ」
ヒマリは縋るような声だった。
「前にも人のことばっか気にしてねぇで、自分のことをもっと考えろって言ったろ!オレはオレ、お前はお前だ」
ユウヤはヒマリにそう言い放った。
その直後、ユウヤは係員に呼ばれ、ミドルキッカーのスタート位置に向かった。
ヒマリはその場で固まったままだった。ヒマリは突き放され、ユウヤが遠くに行ってしまうと感じた。
つづく