
ヒマリのジャンプはスロープ部分を完全に超え、平らな部分まで届いてしまっていた。水の張ってあるプールへの高飛び込みが、地面への飛び降りに変わってしまうようなものだった。
ヒマリは平らな雪面に着地し、衝撃で一気に跳ねるようにスキーが外れた。そしてヒマリの身体がゴロゴロと転がった。目の前で倒れたヒマリを見て、応援していた体操教室の女子が悲鳴を上げた。
森では長老猿とオコジョの子が見ていた。
『長老、ヒマリが、ヒマリが・・・』
オコジョの子はとても心配そうだった。
『落ちてしまったな。可哀そうに、頑張っていたが、もう無理じゃろう』
長老猿は静かに呟いた。
いつものヒマリであれば、失敗しても直ぐ立ち上がり、笑って大丈夫だと周りを安心させる。一昨日のヒマリもそうだった。しかし、今回のヒマリは立ち上がらなかった。激しく転倒し、そのまま倒れていた。
つづく