7.7 遥かなるビックエア! ①

 ヒマリは、スロープ状のランディングゾーンと呼ばれる部分から1m以上も越えて着地し、衝撃で転がって気を失っていた。そして夢を見ていた。

 

「マリ・・・マリ」

 そう呼ぶ声がする。

 

 目を開けると、目の前に笑顔の自分が立っている。そして自分はヒマリではなく子猫のマリだった。

 

「マリのお陰でボクはまだ生きていられる。事故の時、庇ってくれてありがとう。逃げようと思えば自分だけ逃げられたのに、マリはボクを助けようと車に向かって行ったよね」

 そう言ってヒマリはマリを抱き上げた。

 

「ユウヤがいる時、こうやってボクが抱こうとするとマリは直ぐに逃げ出したね。マリはユウヤに甘えてばかりだった。ユウヤが大好きなんだね。だからさっきは不安だったんだね」

 ヒマリはマリの頭を撫でた。

 

「いつも任せきりにしてごめんね。今までマリに遠慮をしていたけど、これからは一緒に考えて、一緒に悩むよ。そして一緒に精一杯生きよう」

 ヒマリはマリを見つめてそう言った。

 

 マリもヒマリを見つめ返し、安心したかのように再び目を閉じた。

 

 

  つづく

 

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