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「見物するならどの辺りがいいの?」
ヒマリが尋ねた。
「ここで座っていても見えるけど、一番キレイなのは、あっちかな」
と言って、ツキハはジャンプ台の上を指した。
「ちょうど飛んでいる時に、バーンって打ち上るとサイコーだよ」
ツキハは首を左右に振って、ずるそうな笑顔を二人に向けた。
三人は夜まで練習し、一緒に飛びながら花火を見ようと約束した。
その頃、ツキハの父によるレッスンが終わったようだった。ヒマリはトイレに行っていて、ベンチには二人だけだった。
ジャンプ台の上にいた若いコーチがスキーを付け、スタートを切った。ヒマリのジャンプより高く飛び、そして縦と横の2軸で2回転をして着水した。
ベンチに座ってユウヤはそれを見ていた。
「スゲー!!やっぱりプロはスゴイな!」
ユウヤが驚きの声を上げた。
「あれはコーク7。ウチのお父さんの方がもっとスゴイよ。ダブルコークができるし」
ツキハが自慢気な笑顔でユウヤに返す。
「へー、ぜひ見たいな」
「じゃあ、もっと近くで見ようよ」
二人はベンチから立ってジャンプ台の方に向かった。まだヒマリは戻っていなかった。
ツキハの父はサングラス姿でキャップの上からヘルメットを被り、スタート位置に立っていた。
ツキハとユウヤは坂を途中まで上り、ジャンプ台の踏切地点の辺りにいた。
つづく
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