2.3 ウォータージャンプをしながら花火大会見物 ④

「見物するならどの辺りがいいの?」

 ヒマリが尋ねた。

 

「ここで座っていても見えるけど、一番キレイなのは、あっちかな」

 と言って、ツキハはジャンプ台の上を指した。

 

「ちょうど飛んでいる時に、バーンって打ち上るとサイコーだよ」

 ツキハは首を左右に振って、ずるそうな笑顔を二人に向けた。

 

 三人は夜まで練習し、一緒に飛びながら花火を見ようと約束した。

 

 

 その頃、ツキハの父によるレッスンが終わったようだった。ヒマリはトイレに行っていて、ベンチには二人だけだった。

 

 ジャンプ台の上にいた若いコーチがスキーを付け、スタートを切った。ヒマリのジャンプより高く飛び、そして縦と横の2軸で2回転をして着水した。

 

 ベンチに座ってユウヤはそれを見ていた。

 

「スゲー!!やっぱりプロはスゴイな!」

 ユウヤが驚きの声を上げた。

 

「あれはコーク7。ウチのお父さんの方がもっとスゴイよ。ダブルコークができるし」

 ツキハが自慢気な笑顔でユウヤに返す。

 

「へー、ぜひ見たいな」

 

「じゃあ、もっと近くで見ようよ」

 

 二人はベンチから立ってジャンプ台の方に向かった。まだヒマリは戻っていなかった。

 

 

 ツキハの父はサングラス姿でキャップの上からヘルメットを被り、スタート位置に立っていた。

 

 ツキハとユウヤは坂を途中まで上り、ジャンプ台の踏切地点の辺りにいた。

 

 

  つづく

 

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